とおたんの詩のページです。


by toyatoyapoetry
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般若理趣経 第一章 清浄世界の大楽

般若理趣経 第一章 清浄世界の大楽

 理趣経の真髄は清穢の分別を超え、すべては清浄にして、真理の光を見るにある。今この「一切法清浄の教え」を十七清浄の法門に約して説き示そう。
 人は愛欲に縛られ、その絆の故に、欲望の矢に心は射抜かれ、肉欲に耽けり、愛憎の鎖に繋がれ、支配欲を増していく。これ等の生き方は求道の妨げとなり、清純な魂は世間の心に消される故に、いまわしいものと退けられよう。しかし「一切法清浄の教え」を体したならば、これはすべて清らかで菩薩の心を示したものなのだ。
 何故ならば、浄穢に分けて観ていくのは世界の真実の姿を見てはいないからだ。愛欲を離れて人間の生は成り立たない。穢らわしいと見られる愛の抱擁も、これがなければ教化救済の偉大な力は湧いてこないのだ。欲望の矢は真理を求める強い働きとなり、肉体の触れ合いは清らかな心の交わりとなり、愛欲の心は求めて止まぬ求道の心となり、やがて確信に満ちた行いとなっていくからだ。
 欲望の心をもって見る世界、快楽に溺れる生き方、貪欲渇望の心、自己を正しいとして生きる生き方、それ等はみな真実の人間の心を滅亡の淵に沈めるものといわれよう。しかし、これらの心を離れて人は生きることはできないのだ。「一切法清浄の教え」を体すれば、これらの心はすべて清らかで、菩薩の心を示したものなのだ。
 何故ならば、欲望の心があればこそ、人はあらゆる苦難を乗り越え、真理の世界を求めていくことができるからだ。そして真理の世界に浸り、渇望の心をもって探求し、偉大な人間を形成していくことができるからだ。
 自己を美しく飾りたて、快楽の世界に心を潤わせ、希望をいだき、肉欲を満たしていくことは、修道の妨げと退けられよう。しかしこれらの心を捨て去って心豊かな人間性を育むことはできないのだ。「一切法清浄の教え」を体すれば、これらの心はすべて清らかで、菩薩の徳を示したものなのだ。
 何故ならば、これらの自己充足の心がなかったならば、真理をもって世界を荘厳し、偉大な法城を建設していく向上進歩の力を失い、無限の徳を具えたビルシャナ如来の人格は創造することはできないからだ。
 眼に見る世界、耳に聞く世界、鼻に嗅ぐ世界、舌に味わう世界、これら色声香味の感覚より生ずる世界は、事物の仮象を見るに過ぎないと軽く扱われ、否定もされよう。しかし、これらの世界を離れては真実世界の門を入ることはできないのだ。「一切法清浄の教え」を体すれば、これらの世界はすべて清らかで、菩薩の心を示したものなのだ。
 何故ならば、智慧の眼を備えたものは仮象の中にありながら、ありのままの真実世界を証見することができるからなのだ。
自己を滅ぼす迷いの世界、仏陀の世界に引き入れる悟りの世界。人はこの異なった二つの世界があるとして、迷いの世界を切り払い、悟りの世界を求めようとする。しかし世界は本来清浄一如のもので、浄穢の別はあり得ないのだ。この真理を体得するときに、般若波羅蜜は自らのものとなって、清浄世界は開かれよう。
 金剛手よ、若しこの清浄世界を見開く般若の教えを体することができたなら、発心から悟りの完成に至る修行の間に、自己の心を動揺させる様々な障害や、愛欲より起こる煩いや、知識より生ずる偏見や、自己の行為より生ずる様々な悩みなどが積み重なって心を迷わすことがあっても、決して地獄などの闇の世界に引き込まれることはない。またたとえ重罪を犯してしまっても、それを消滅していくことは困難なことではない。若し様々な迷いが沸き起こってきても、この『般若理趣経』をよく受持し、日々に読誦して、その精神を心に体し、思惟していくならば、現生に、「聖俗迷悟一如」と観る金剛の究極の真髄、『清浄大楽』を証得することができるだろう。
 そこに正に現実の生活の中に、真実の生き方を知り、自在を得て愛と喜びを味わい、苦悩の人生の中に輝かしい光を得、如来として生かされ、英智の実践主体として力強く生き抜くことができるのだ。
 時に世尊大ビルシャナ如来は、この真理の教えを実現していくために自ら金剛手菩薩の姿となって、その実践の道を教え示された。この金剛手菩薩こそは、一切如来の心、そして大乗仏教の真髄である金剛界大マンダラの世界を体得させ、英智をもって根本煩悩と対決させ、清浄心をもって煩悩をコントロールさせ、永遠に滅びることのない人格の宝を与えていく偉大な力を身に備えておられるのだ。この偉大な力があればこそ、すべての人に清浄な大楽の世界を育て与えることができるのだ。
 金剛手菩薩は大悲救済の心を胸に秘め、確固不動の生き方を教え示すとともに、大菩提心を振い起こし、いかなる困難も、大勇猛心をもって克服していく大楽金剛不空三昧耶の道を教え示された。
 吽(フーン)、あらゆる絆よ、せまい心よ打ち砕けよ、清浄にして真実の世界、大安楽よ、我を不滅の世界に生かせよ。
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by toyatoyapoetry | 2010-08-03 14:08